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| クラブエイトスタジオ盛岡 代表取締役 越智裕 |
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折衷主義─eclecticism─の提案型インテリアショップ。 |
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■自分の感性に合う家具を見つけると、 |
国内外を問わずメーカーに打診。 |
抜群の行動力とスマートな交渉術で |
地方都市のハンディを越えた |
品揃えを実現してきた。 |
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■ 「クラブエイトスタジオ盛岡」の概要を教えてください。
越智/欧州の家具を中心に販売するインテリアショップとして、99年11月にオープンしました。仕入れ先は欧州の家具メーカーを中心に15社ほど。なかでも、ヨーロッパNo.1の知名度を誇るドイツのヒュルスタ社と、「Y チェア」 で知られるデンマークのカール・ハンセン社の商品、そして国内製造する当社オリジナルのソファを主軸に展開しています。
店内では家具単体を並べるのではなく、リビング、ダイニング、ベッドルームなど、部屋ごとのコーディネート全体をお見せしています。約10シーンありますが、それぞれそこに住む人のイメージを詳細に設定し、その人がどんな服装を好み、家族は何人で、どんな車に乗り、どんな音楽を聴き、どんな食事を楽しんでいるか…などを考え、見合う家具を一つずつ置いていくわけです。
エクレクティシズム(折衷主義※)を基本としているので、イタリア製だけ、日本製だけなど、製造国だけでコーディネートすることはありません。例えば、ラグはペルシャが最上だし、張り込みソファではイタリアに敵うものはなく、チェアや一人掛けのソファではデンマークが秀逸です。それぞれに個性があり、秀でた家具がありますから、国や一定のスタイルにこだわることなく、お客様の感性やライフスタイルに合った家具を選んでいただきたいと思っています。
※エクレクティシズム(eclecticism:折衷主義)・・・異なる哲学・思想体系から真理あるいは長所と思われるものを抽出し、折衷・調和させて新しい体系を作り出そうとする考え方。
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■世界各国の優れた家具をブレンドし、 |
統一したイメージの空間を創り出す。 |
写真のソファは座面が低めで、 |
腰かけた時の目線は「座」の感覚に近い。 |
洋にも和にも偏らない「自分らしさ」を演出。 |
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■ 日本の家には日本製の家具をと考える人も少なくありません。
越智/国産家具を否定するわけではありません。が、置き家具の歴史は圧倒的にヨーロッパのほうが長いことは事実です。歴史が長いということは、それだけ多くの人の価値に洗われ、機能もデザインも研ぎ澄まされてきたということでもあります。例えば、北欧の家具は世代を超えて使うことができる堅牢さを持ちながら、過剰な重さはなく、フレキシブル。デザインもシンプルで美しく、飽きが来ない。それでいて、組み立てたり分離できるノックダウン方式でコストが抑えられ、普及価格帯を実現しています。環境に配慮した素材の使用やリサイクルシステムの確立などは、欧州の家具メーカーにとっては当たり前すぎて、あえてセールスポイントにしているところなどありません。そう考えていくと、日本の住宅の8~9割が洋間で構成されている以上、そこに合う家具には輸入家具が最適ではないかと思うわけです。
日本では「職人が技を尽くして作り込んだ」点を強調する家具ほど高価なように思います。私見ですが、職人の思い入れが強すぎる家具は、たとえ孫の世代まで残っても孫にとっては「重すぎ」る。持つべき機能と質のバランスがとれないデザインは後世にまで残りません。家具に込められた職人の思いは、作り手の手を離れて新たな所を得た瞬間から、徐々に昇華されていくべきだと考えています。
家具は年々安くなってきました。それは他でもない、質を伴う量産を可能にしている輸入家具のおかげです。住宅の建築費の5~10%程度の予算をかければ、主要な家具を「一生物」で揃えることができるでしょう。
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部屋は家具を置いたほうが広く見える──というノウハウ。 |
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■自らが惚れ込んで |
仕入れた商品を語る口調は熱い。 |
機能、デザイン、素材の特長、 |
アフターケアに至るまで、 |
丁寧に、かつ楽しく教えてくれる。 |
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■ 家具を置くほど、部屋が狭くなるような気がします。
越智/いえ、反対に、精密なプランニングを経て選び抜かれた家具を置いた場合、かえって部屋は広く見えるものです。ただし、いくつか条件はあります。第一にカラーリングに気を配ること。床と建具、壁の色、幅木、家具の色を揃えるのです。第二には基調色に「白」を使うこと。欧米では前述の建築部位は大抵白です。迷ったら白を選ぶ。汚れることを嫌う人もいますが、逆にいえば汚れにくい生活に導いてくれる色でもあるのです。先日、床も壁も全面無垢板を張っている築20年ほどのお宅にお邪魔しました。経年変化で木肌が濃くなっていたのですが、ご主人が「目にうるさく、とても疲れる」と嘆いておられました。決して狭い部屋ではないのに、圧迫感を感じるのです。お好みもあると思いますが、私は長く住み継ぐつもりの家こそ、基調色には白をお勧めします。
素材も無関係ではありません。例えばソファカバーは、革よりも布のほうが風景に溶け込みやすく、広く見えます。また、壁に一枚の絵を掛けることで天井の高さを意識させ、広がりを感じさせる手法もあります。片付けの苦手な方こそ、壁面にアートを飾るといいでしょう。本物のアートの力はすごいもので、一枚の絵や一つのオーナメントが、住み手の意識と行動を変えることは珍しくありません。アートをもっと活かそう、そのためにも周囲を乱雑にしないようにしようと無意識に思い、行動するようです。
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■国内老舗メーカーと提携して製造する、 |
オリジナルソファの人気も高い。 |
枠材、ウェービングテープ、カバー… |
いずれも世界中の良材をセレクト。 |
なかでも超高密度ウレタンを標準にした |
へたれない座面の座り心地は秀逸。 |
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■ 自分に合った家具を選ぶには。
越智/本来はいま住んでいるお宅を拝見するのがベストです。「片付いていないから」と遠慮される方もいますが、ありのままを見せていただく。新築を機にライフスタイルを変えようとしても、人間なかなか変わるものじゃありません。片付けが苦手な方には扉のある収納家具がいいでしょうし、きれいに片付けて暮らせる人はオープンシェルフがいいかもしれない。専用の3Dグラフィックスソフトを使い、プランニングイメージを具体的な形にしてお見せすることもしています。部屋の広さや窓の位置、床や壁のカラーを設定すると、その中にお勧めする家具を置いたときの状態を再現できるというものです。
新居の建築や購入と同時に家具も新調する場合は、最初から設計士と一緒にインテリアコーディネーターも同席したいところです。ヨーロッパではそれが普通で、事実、自分に合った家具を選ぶ上で最も後悔が少なく、コスト的にも無駄がない方法なのです。入居目前に図面を持参して来店されるお客様も少なくありませんが、家具選びは早ければ早いほうがいい。部屋のスケールや、床や壁の色が固定している場合、プロから見て選択肢はそう多くありません。私は「お客様の家はこういう家具を置くべき家になっています」と断言して、説明することも度々です。
お客様の希望通りになさってもいいのですが、半信半疑で私の提案を受け入れてくださったお客様が、後に伺った際に「越智さんの言ったとおり、本当に家具を置いたほうが部屋が広く見えました」とおっしゃっていただける瞬間は、最高の喜びですね。
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チェア、ソファ、ベッド。この3つがインテリアの核となる。
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■チェアーも世界に認められた
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名作が揃っている。
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置き家具のみならず、
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アートを使った壁面装飾や
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照明の妙にも注目したい。
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■ 一度に買い揃えることができない場合、優先順位はどう考えたらよいでしょうか。
越智/あえて決めるとしたらイス(チェア)から揃えることをお勧めします。いくら狭い部屋でもイスが置けないということはありませんし、日本人はダイニングに客人を迎え入れる家庭も多く、食事の後もリビングに移動せず会話を続けたり、テレビを見ることが多いものです。例えば世界中で愛され、当店でも売れ続けている「Y チェア」は、7~8時間でも座り続けることができるイスです。ダイニングはセットで売られがちですが、イスとテーブルは個別に選ぶべき。まずは好みに合ったイスを選び、そのイスに合う、人数に見合った脚数が納められるテーブルを選ぶようにします。
次はソファです。子供が汚すから安価なものでいいという方もいらっしゃいますが、私は多感な時期にこそ本物に触れさせてあげてほしいと思っています。ソファがつくりだす親密な家族関係も味わってほしいですし、本物のソファの価値を知らずに育ったお子さんは、いずれ他人の家のソファを汚すかもしれません。
ベッドも大切です。人生の3分の1の時間を共に過ごす家具ですから。当社でお勧めしているヒュルスタ社のベッドは、身体に合わせてしなるスノコ状の木製スプリングで、正しい寝姿勢を導き、硬さを調節することも可能です。通気性もよく、高温多湿な日本の気候にも優れた効果を発揮します。
家具と家具をつなげるアイテムとして、ラグもぜひ取り入れてほしいですね。空間をエリア分けしようとするときに、これほど便利なものはありません。 壁で仕切るよりも経済的で、同一空間に存在する各エリアの目的──読書空間であるとか、ダイニング空間であるなどをさりげなく主張し、人間の行動を導いてくれます。
家は一生に一度の買い物といいますが、私は家具も一生に一度の買い物だと考えています。お客様にも「うちで購入してくださったら、同じアイテムは二度とお売りしません。一生使っていただけるものを置いていますから」とお伝えしています。
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■「インテリアコーディネートは、美しいサラ
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ダをつくる感覚と似ている」という。
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何十種類もの野菜を一つのお皿に入れて、
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彩りの美しい、おいしいサラダをつくる。
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一流の「料理人」の手に委ねた空間は、
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まさに極上の居心地を生み出すに違いない。
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■──編集後記
越智社長に会うと、元気になれる。いつも、少しの緊張を抱えながら伺うが、必ず笑顔であたたかく迎えられ、一言二言交わすだけで、上質のソファに座っているような心地にさせてくれるのだ。打ち合わせに使うテーブルやイスは、いつも本物の商品。そこで美味しいコーヒーなどいただいていると、自分とは縁がないように思っていた一生ものの家具にも親しみを感じてくるから不思議でもある。商品を語る口調は穏やかでありながら、その芯には確固たる主張が滲む。話を聞くたびに、家具に対するこちらの思い込みのようなものが、気持ちよく壊れされ、新しい価値を知る喜びを、そっと教えてくれる。
かつてはオーディオメーカーの海外駐在員として、海外生活を長く経験。各国のインテリアを肌で学びつつ、和の文化もないがしろにせず、調和を図る。持てるノウハウやセンスを、国際感覚で培ったバランスを惜しみなく駆使して、岩手の家々にも注ごうとしている。近々、店内に100インチのスクリーンとプロジェクターを組み込んだ、リビングホールシアターのコーディネートがお目見えする。電化製品はとかくインテリアを邪魔するものだが、家具業界とオーディオ業界の両方を経験した越智社長ならではの提案は楽しみである。
北欧は冬が長いため、昔から家の中で過ごす時間を大切にし、それだけ家具にもお金をかけてきた。スウェーデン人が家具にかける費用は日本人の約4倍にのぼるという。北欧と気候風土の似ている岩手こそ、いまの日本にふさわしい新しい家具文化を醸成することができるかもしれない…というのは大げさか。「家と人。」で取り上げる住宅は決して高級ではないが、安価でもない。性能を重視し、ランニングコストの低さや耐久性の高さを優先する住宅でもある。クラブエイトスタジオ盛岡の家具は、そんな価値を理解するユーザーにこそ選んでほしい家具である。居心地のいい住まいには、居心地のよい家具が似合う。百年もつ住まいには百年もつ家具こそふさわしい。
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