家と人。NET    | 新着ニュース  | 「家」の現場」  | Interview  | 「家と人。」コラム  | 家と人の関係  | 住宅・生活誌「家と人。のご案内」 |「 家と人の会」会員  | 住まいの用語解説
家と人。NET
正直な情報で、納得できる家づくりを応援します。
リヴァープレス社 「家と人。」編集者日記
TOP 新着ニュース 「家」の現場 Interview 「家と人。」コラム
家と人の関係 住宅・生活誌「家と人。」のご案内 「家と人の会」会員 住まいの用語解説
「家」の現場
INDEXページへ
vol.5

日本の高断熱・高気密住宅を根底から支え続けるシャノンウインド。

株式会社 シャノン 【東京都】

断熱性能は「アルミサッシ・単板ガラス」の4倍以上

高い断熱性能に加えて、
機能やデザインも豊富な樹脂サッシ。
引き違い窓のみならず、出窓やファンライト、
ドレーキップなどと組み合わせると、
外観の表情もゆたかになる。

樹脂サッシは、ドイツ生まれのサッシである。1955年、ドイツのヘキスト社が世界で初めて開発。その後、欧州諸国では住宅の省エネルギー化が進み、サッシの高級化やデザインの多様化なども後押しして、急速に普及した。1980年代、ドイツでの普及率は50%、オーストリアやイギリスでも40%を超えている。アメリカでは1970年代に樹脂サッシが開発され、省エネルギー施策の推進とともに、2000年には46%の普及率に達している。

日本で樹脂サッシの製造・販売が始まったのは、1976年のこと。北海道を中心に普及が進んだが、しかし、サッシといえば「アルミ」という印象がいまだ根強く浸透しているのが、日本の住宅市場の特徴だ。

窓は、住宅の断熱の要。1992年の省エネルギー基準による住宅では、冬期間に窓などの開口部から逃げる熱は(室内の熱量の)48%、夏に開口部から流入する熱は同71%にもなり、冷暖房エネルギーの負荷が格段に高い。省エネルギー建材普及促進センターの試算によると、<アルミサッシ・単層ガラス>の窓からの熱損失が100の場合、<外側アルミ+内側樹脂サッシ・複層ガラス>では54、<樹脂サッシ・複層ガラス>の熱損失は36と、アルミ単層の3分の1強という省エネルギー性能が証明されている。窓全体としての熱貫流率(※)を単純に比較すると、シャノン製の<樹脂サッシ・アルゴンガス入り・Low-Eペアガラス>は<アルミサッシ・単板ガラス>の4分の1以下という高い断熱性能を誇る。



※熱貫流率
建物の窓や壁などの断熱性能を表す指数。内側と外側の温度差があるとき、一定の時間・面積当たり、熱がどの程度出入りするかを表す。数値が小さいほど断熱性能が高い。

先進国では「スタンダード」の樹脂サッシ

高断熱・高気密化された住宅は、
採光たっぷりの吹き抜けにしても上下の温度差は少ない。
そうした新たなデザインを可能にしたのが
樹脂サッシに代表される断熱窓ともいえる。

全国で今後、建て替えやリフォームの対象となる80年省エネルギー基準の住宅を3000万戸と仮定し、すべての窓を樹脂サッシ・複層ガラスに取り替えると、CO2の年間削減量は8100万トンにのぼり、マンションなどの集合住宅を加えると削減量は1億トンに達する──そんな試算がある。「京都議定書」では、日本は2008年以降5年間の年平均排出量を90年の排出量比で6%(約6000万トン)削減する義務が課せられているが、樹脂サッシへ切り替えるだけで6%の削減目標を軽々と達成してしまうというわけだ。

しかし、80年、92年、99年基準と改定された日本の省エネルギー基準には遵守義務がなく、99年基準(次世代省エネルギー基準)適合住宅は、1割前後。北海道の新築住宅における樹脂サッシの普及率はほぼ90%に達しているが、冬期はほぼ同じ寒さとなる東北での普及率は依然低いままであり、高い省エネルギー効果を発揮する高断熱・高気密住宅の温暖地での普及も緩速である。先進国ではすでにスタンダードとなっている樹脂サッシだが、日本での普及率・認知度の低さは、住宅の省エネルギーへの関心の低さに比例するといってもいい過ぎではない。

民生部門でのCO2削減は「窓」が要となる

(株)シャノンにおける開発分野を長く経験し、
07年7月から東北シャノン(株)代表取締役社長に
就任した宮嵜準一氏。
「民生分野における省エネルギーの切り札として、
樹脂サッシの普及に努めたい」とその抱負を話す。

1976年、日本初の樹脂サッシ「シャノン」の製造・販売に踏み切ったのが、サンアロー化学(後にトクヤマに吸収合併)である。80年には日本初の樹脂サッシ組立工場として、徳山曹達株式会社栗山工場(北海道夕張郡栗山町)が誕生。その後、企業合併や事業再編を経て、2000年に現在の(株)シャノンが設立された。主力商品の樹脂サッシ「シャノンウインド」は、発売以来、日本の高断熱・高気密住宅を根底から支え続けてきたといってもいい過ぎではない。

岩手県花巻市の花巻工場は91年の設立。ここで樹脂が押出成型されて形材(かたざい)となり、隣接する関連会社の東北シャノン(株)で加工・組立され、樹脂サッシとなる。2004年には、佐賀県唐津市に相知工場も設置。現在、年間生産数は同社全体で37万窓(2006年度)、全国の樹脂サッシ市場では約30%のシェアを持つ。

「民生部門の温暖化対策が遅々として進まないなか、家庭から排出されるCO2量をいかに減らすかが国レベルでの大きな課題となっています。樹脂サッシは元々製品そのものが省エネルギー。使用するだけでCO2削減に貢献できるだけに、今後は知名度の向上こそが、普及拡大の課題かもしれません」と話すのは、東北シャノン(株)の宮嵜準一代表取締役社長。省エネルギー機運の高まりは樹脂サッシにとって強力な追い風。環境省や経済産業省では、樹脂サッシの普及を、これまで以上に支援していく姿勢を打ち出した。マンションや病院、老人ホーム、シティーホテルなどでの採用実績も徐々にではあるが、高まっている。 樹脂サッシのパイオニアとして、早くから生産拠点と営業拠点を主要各地に配し、開発に注力し、市場展開にも積極的に取り組んできた努力が大きく実を結びつつある。

既存住宅のリフォームにも「断熱」の視点

リフォーム市場が成長するなかで
「断熱改修という新たな分野で、樹脂サッシの需要を開拓するのが、
私たちの役割でもあります」と話す
(株)シャノン開発部・橋本幸登志部長。



99年に策定された国の次世代エネルギー基準では、I地域(北海道など)は欧米の性能基準とはほぼ同等となったものの、II地域(青森、岩手、秋田など)以南は高断熱・高気密化の進行が緩やかであり、それに伴う結露問題やヒートッショクなどの問題を抱えた住宅がいまだ少なくない。冷暖房用エネルギーの大消費地であるIV地域(関東、関西、中国、四国、一部を除く九州)、V地域(宮崎、鹿児島)での樹脂サッシの普及は、始まったばかりといった状況だ。

「新築物件の性能向上に、窓の断熱化は欠かせません。4400万戸もある既存住宅のリフォームにも、今後は温熱環境の改善が大きなテーマとなってくるでしょう」と話すのは(株)シャノン技術本部・橋本幸登志部長である。「そのためには、さらなる性能向上やデザインバリエーションの充実が大きな課題となると思っています」。これまでは敷地によって制限もあったが、樹脂サッシでは国内初の「防火認定」を取得したのもシャノンウインドであった。度重なる生産システムの改善によって、コストも徐々に安定。「一人でも多くのユーザに、快適・健康的な室内環境を提供したい。そのことがまた、環境への負荷を低減させることにもつながっていくと思います」。

日本の樹脂サッシの歴史を創る「シャノンウインド」

樹脂サイディングと樹脂サッシを採用した
新築住宅(岩手県盛岡市)。
構造、内部の造作は全て地元材を使用した外断熱工法。
こうしたコラボレーションも増えている。

樹脂サッシの主原料は、塩化ビニル(PVC)と呼ばれる樹脂である。ポリプロピレン、ポリエチレンなどといった樹脂が100%石油を原料にしている一方、PVCは40%が石油、残りの60%が食塩であり、製造段階から省エネルギーを意識した素材ともいえる。

PVCは、熱を加えると加工しやすく、冷やすと固まりやすいため、リサイクルも容易だ。同社では、すでにリサイクル体制も確立。生産工程などで生じた端材は新しい樹脂サッシに再生する。初代の樹脂サッシの廃材はまだ出ていないが、将来的に住宅廃棄時に発生した廃棄製品も、同様のシステムでリサイクルする計画だ。

ヨーロッパで樹脂サッシが普及してすでに50年。日本でも、30年前に設置されたシャノンウインドの大半がいまも現役で使われている。暖冷房エネルギーの約3割が放出され、省エネルギーの要となる窓だが、ユーザーの窓への関心はいまだ低い状況が続いているのも事実。「省エネルギーだけでなく、家族の健康を守るために欠かせないパーツの一つとして、多くの人に、樹脂サッシのことをもっと知っていただきたい」と橋本部長は話す。

現在、樹脂サッシのシェアは、サッシ全体の年間市場規模の約8%程度。次世代省エネルギー基準をクリアする新築物件の割合と、ほぼ一致する。北海道では20年も前から「スタンダード」として定着している樹脂サッシだが、その市場を開拓してきたのが「シャノンウインド」。日本における樹脂サッシの歴史を創造できるか否かは、日本人のエコロジーへの意識にも、密接にかかわっている。

■──編集後記
シャノンという会社にはいくつもの思い出がある。一つは20年前のこと。当時、北海道ではすでにシェアNO.1だったシャノンウインドだが、自宅の新築時には予算の関係で採用できず、涙を飲んでアルミサッシとした経緯があった。その後は毎冬、結露とガラスの凍結で悩まされ現在に至っている。面積を減らしてでも、シャノンウインドを採用すべきだったと悔やまれる。
二つ目は、取材の現場で出会った営業や技術者の方々の思い出である。岩手で高断熱・高気密住宅が普及し始めたのは15年ほど前から。彼らは営業現場にもかかわらず、自社製品のカタログなどは提示せず、断熱化の意味とそれを実現する技術を説いて回った。いまも懇意にしていただいている同社のSさんは「住宅全体の断熱化を図ることが先決で、窓を売るのが先ではない」が口癖だった。岩手をはじめとする東北地方で、住宅の高断熱・高気密化に貢献したのは、彼らのこうした地道な啓蒙活動が布石であったことを決して忘れてはならない。 三つ目は、シャノンウインド誕生20周年のときに、記念事業として発刊された『プラスチックサッシの本』の編纂に携わったことである。同社にも編集委員会が組織され、当時の東北支社、東京本社などを、何度も取材や打ち合わせで訪れた。編集委員の方々からは、技術者集団ならではの清潔さと正直さをいつも肌で感じたものである。
シャノンウインドは、日本の樹脂サッシのパイオニアである。が、広告・宣伝・営業の不器用さが、いまだ低いままの認知度に影を落としているように思えてならない。北海道ではすでに「樹脂サッシ」といえば「シャノンウインド」のイメージが定着。東北から関東、関東以西でもパイオニアとしての意地を見せられるかどうか。それは、企業努力という意味ではなく、それらの地方のエンドユーザーの意識の高まりを注目していきたいという意味である。最後に、今後、自宅のリノベーション(断熱改修)の機会があれば、今度こそ、全ての窓をシャノンウインドにするのが夢である。

サッシとガラスの高断熱化は、快適性を向上させながらデザインの領域を飛躍的にひろげることが可能になった。

「スタッフ個々の経験と技術を柔軟に使いこなしていく。そこに、製造技術の難しさがあります」と話す東北シャノン(株)・浅沼光一製造部長。

寒冷地のみならず、温暖地においても省エネルギーは大きなテーマ。樹脂サッシは冷房エネルギーの削減にも大きく貢献。

樹脂素材の熱伝導率の低さが断熱性能の決め手. 加えて高い耐候性、耐薬品性、水密性を実現するために、高度な押出・加工・金型精度が求められる。

和風建築用にも多彩なデザインバリエーションが用意されている。

東北シャノン(株)で出荷を待つ樹脂サッシ。年間の生産窓数は19万窓。(株)シャノン出荷窓数37万窓のうち半数以上を占めている。

DATA
社名・連絡先 株式会社 シャノン
東京都港区西新橋 1-4-5 トクヤマビル別館 TEL 03-3597-5090
http://www.shanon.jp/

東北シャノン 株式会社  
岩手県花巻市北湯口第一地割 46-1 TEL 0198-27-4300   ※工場見学も随時受付
http://www.iwate21.net/tohoku-shanon/  E-mail
PAGE UP
会社概要 | サイトポリシー | プライバシーポリシー | お問い合せ
家と人。NET |  Copyright(C)2006 RIVER PRESS,Ltd All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。