家と人。NET    | 新着ニュース  | 「家」の現場」  | Interview  | 「家と人。」コラム  | 家と人の関係  | 住宅・生活誌「家と人。のご案内」 |「 家と人の会」会員  | 住まいの用語解説
家と人。NET
正直な情報で、納得できる家づくりを応援します。
リヴァープレス社 「家と人。」編集者日記
TOP 新着ニュース 「家」の現場 Interview 「家と人。」コラム
家と人の関係 住宅・生活誌「家と人。」のご案内 「家と人の会」会員 住まいの用語解説
「家」の現場
INDEXページへ
vol.3

コストダウンと高性能── 相反するテーマをクリアした完全6面体キューブ構造。

株式会社 タックホーム 【岩手県盛岡市】

削ぎ落とすことで初めて際立つデザインと性能がある

どんな敷地の形状でも明るいタックホームの家。
北側採光を可能とするのも、
躯体と開口部の高い性能があってこそ。

重厚さよりも、清涼感。大胆というより、洗練。タックホームの家に一歩足を踏み入れると、いつもそんな印象を抱く。

それは、音や糸からなる「織」の字に、よく似ている。

細やかな手さばきによって縦糸と横糸がせめぎ合い、絡み合うことで、品のいい、すずやかなデザインが浮き彫りとなる。そこに住まう家人の軽やかな足音が、連想されてくる。

「太陽にさからわない」のが身上。敷地の形状にとらわれることなく、あえて北側にも高性能の開口部を設けることで、四季を通じて、室内に豊富な日射を導く高いデザイン。それでいて、真夏の日射コントロールは、深い庇や軒を自在に操り、遮へいを極める。開口部の性能に左右されない、躯体性能の高さの裏付けでもある。

設備でも色でも、凝りに凝ったデザインでもなく、むしろ削いでいくことを極めたうえで浮き彫りにされる「用と美」の空間は、まさに「織」の具現。空間の清涼感、洗練は、こうした緻密な計算によって初めて実現されたものだ。

これまでの道のりは、コスト削減のための合理化との闘いだった。合理化を突き詰めていけば、プレハブ住宅になってしまう。目指すのは、画一的な量産住宅ではなく、世界に唯一つの、施主のための家。

家を考える大前提として、性能確保にこだわったのは、快適さ実現のためだけではなかった。「生活デザインの限界をひろげるため」(立花清久社長)である。

全棟においてC値0.3以下を保証する自信の裏付け

空間のデザインがとにかく「きれい」だ。光と色彩を操り、
精緻に計算された縦と横のラインの織りでもある。

創業時から採用しているHPパネルは、間柱とプラスチック系断熱材、面材となる合板が一体化した断熱パネルである。上下から加わる垂直荷重に強く、左右からの水平荷重(地震力・風圧力など)にも粘り強さを発揮する。構造用合板が室内側にあり、シートを使わずとも、気密施工もしやすい。

施工物件の平均的なC値は0.3㎠/㎡以下。施主にも0.3㎠/㎡以下を保証している。この12月に完成した物件は全て0.2㎠/㎡以下。この性能があって初めて、デザインに幅が出てくる。大空間も斜め天井も可能となり、最大4階層まで対応できる強度。このHPパネルの構造材を天井面にも使い、6面体の構造としたのが同社オリジナルの「キューブ構造」だ。その名の通り、四方の壁に天井と床からなる立方体(cube)。基礎はベタ基礎。天井パネルのおかげで、職人にとって、小屋裏の施工も安全でスムース、工期も早い。着工から2日間で屋根の防水工事まで終了できる。大空間の天井収納、半地下スペースも「キューブ構造」ならではの付加価値だ。延べ床面積で広さを考えるのではなく、余すところなく「容積」で生活空間を確保する。生活者にとって、このメリットは大きい。

2000戸以上の現場経験から学んできたこと

社長の立花清久氏。よくしゃべる。
そのくせ、恥ずかしがり屋。
家と人への思いの深さを、
いつも感じさせてくれる人でもある。

社長の立花清久は、1966年岩手県紫波町生まれ。建築会社を営む父親の後ろ姿を見ながら、物心ついたころから漠然と「建築士」をめざしてきた。

地元の工業高校建築科を卒業後、横浜の建築会社に入社。大手ゼネコンのサブコンとして大規模建築現場監督を勤める。

20代前半で40〜50人の職人をとりまとめた。20代半ばには、「立花の現場は仕事がしやすい」といわれるまでになった。美術館などの公共建築から数百戸単位のマンションまで、25歳までに手がけた住宅は実に2000戸以上にのぼる。

このときの経験がいまも生きている。

93年、母親の大病をきっかけに帰郷。父親の営む建築業を手伝うようになった。誰にも負けないくらい図面を読んできたつもりだった。が、図面が描けない、資格のない自分におびえた。

長男の誕生にも背中を押され、奮起して2級建築士を取得したのが26歳のときだった。いったん家業を離れて地域ビルダーに入社し、戸建て住宅の設計・監理で経験を積んだ。31歳で1級建築士の資格を取得。このとき、30代の合格率は10%にも満たなかった。

「1級がほしかったのではない。自分はここまで勉強した、ここまで理解できたのだという証明書がほしかった」と立花は振り返る。正々堂々と、図面描きに専念できるようになったのは、この時期からである。

ヒューマンエラーとコストダウンとの闘い

営業マンはいない。
スタッフは全員が2級建築士以上の資格を持つ技術者集団。

2000年「タックホーム」を創業。03年に法人化し(有限会社)、06年に株式会社に改組。現在、スタッフは、全員2級建築士以上の資格保持者で固めている。オリジナル工法でもある「キューブ構造」は、性能確保と合理化の集大成。「性能を高いレベルで維持したまま、普及しやすい価格で建てられないか」。あくまで、エンドユーザーのための取り組みだった。

現場監督時代のこと。マニュアルがあっても、現場にはヒューマンエラーがついて回ることを、嫌というほど学んできた。例えばある部分に3ミリの隙間を付ける。厳密にその通り仕上げられる者は、50人中数人もいない。ヒューマンエラーの存在を前提に、どれだけ施工精度を上げるか。図面から設計者の意図を読み、職人の安全を守り、個々の力を最大限発揮できるようにしながら、工期を厳守し、原価管理も徹底。そのための工夫や段取り、采配が、現場監督に求められる能力でもあった。家づくりも同じだと考えている。ヒューマンエラーが避けられないことを前提とすれば、どの職人が手がけても性能が左右されない材料を使うしかない。そういう工程を組む。多少コストが上がっても、作業効率が上がった分だけ工期が短縮し、人件費が下がれば最終的にコストダウンとなるという図式である。

全ての現場で自分の影を刻み込むような仕事をしたい

建築現場では必ず、社名のロゴを使い、
性能保障を明示したシートを使う。
少々目立つが、それに恥じない仕事をしたい。
そんな願いのあらわれ。

同社ではサッシに断熱性の高い樹脂スペーサーを使ったガラスを標準仕様で採用している。最低でも樹脂サッシ・Low-E・アルゴンガス充填仕様である。

当然、アルミ・樹脂の混合サッシなどに比べると、コストは高くつく。が、その分断熱性能が上がれば暖房容量を減らすことができ、結果として暖房設備にかかるコストを減らすことができる。施主にとってはイニシャルコストが変わらない、あるいはより割安になったまま、光熱費を下げるというメリットも還元できる──という考え方だ。

大規模マンションを何棟も手がけた時代のこと。

「正直いって、施主のことなど眼中になかった。頭を下げるのは、受注先のディベロッパーだった」

住み手ではなく、お金の流れに頭を下げていた。そんな自分が、いまも悔やまれてならない。

いまは、現場を離れても「タックホーム」という社名と氏名を記した名札を決して外さない。いつどこで、お客様に会っても恥ずかしくない自分でありたい。弱い自分を知っているからこそ、いつも自分を律していたい。40歳になって、心底、そう考えられるようになった。

立花はいう。「光をあてられることより、しっかりとした黒い影を残す仕事がしたいのです」。その影は、生涯、自分の建てた家、そして施主の家族にやさしく寄り添いつづける影でもある。(文中敬称略)

■──編集後記
「高額所得者のためだけの高性能住宅ではなく、誰にでも手が届くコストで最高レベルの性能を有した注文住宅を届けたい」という願いのためのコストダウンを徹底してきた。そこには、社長の立花さんが、横浜で現場監督をしていた時分の経験が存分に生かされている。工程管理・安全管理・原価管理・品質管理などのシステム構築力。現場では働く職人たちが最大限の力を発揮させるための気遣い。そうした経験とノウハウ、青年時代から心に秘めてきた家づくりへの思いを結実させたのが「キューブ構造」だった。
それは、どんなライフスタイルでも柔軟に受け入れていく箱であり、容積の用途を極限にまでひろげた箱、どんな地震からも家族を守る箱、熱の出入りを極限にまで制限できる箱──。生活者が入り、日々の暮らしを営むことで初めて用途と様相が決定され、有機的な箱へと変わる魔法の箱でもある。
天井裏の大収納空間、半地下の収納室、北側採光、深い軒や庇、生活の変化に対応する自由性の高い空間、緻密に計算された光や風や外とのつらなり、それらを根底から支える最高レベルのQ値・C値、洗練された空間構成とシャープで潔い色彩感覚。「ハイエンドの住まいは造らない」という謙虚さは、換言すれば「誰にでも最高レベルの住まいを、手の届く価格で届けたい」という願いのあらわれでもある。
立花さんは、よくしゃべる。おしゃべりというのではない。家や人、暮らしへの夢が、言葉となって、気持ちの奥底からあふれ出てくるのだ。その言葉の一つひとつに、確固たる裏付けがある。ドアのノブ、電球一つでも、世界中から調達してくる行動力がある。1軒の家でのべ数十枚もの図面を描き、緻密な熱計算をし、工程や現場を管理し、昼夜を問わず、数十回にも及ぶ施主との打ち合わせに臨み、3人のお子さんのよきパパまでも演じきる。40歳になったばかり。この人と会うたび、北国の空に向かってすっくと伸びる、若いポプラの樹が重なって見える。

スタッフは全員、社名ロゴ入りのジャンパーを身にまとう。「これも自分たちの仕事に誇りを持つためなんです」と立花社長。

30歳を過ぎてから1級建築士の資格をとった。「家に対して、最低、これだけは学んだのだ」という自己証明書でもある。

天井裏の収納大空間や半地下収納も標準仕様。完全6面体キューブ構造ならではの容積率である。

天井面で徹底した断熱・気密をとり、天井裏は収納用の大空間。40坪の住宅で40坪の空間をとることも可能。

無垢材をふんだんに使い、塗料や接着剤はいうまでもなく自然系。鋳物ストーブとオール電化の組み合わせも少なくない。

隣家が敷地に迫っていても“光”を自在に操る。

DATA
工法 キューブ外断工法・キューブ構造工法
平均隙間相当面積 0.3cm2/m2以下
平均熱損失係数 1.6W/m2・K以下
社名・連絡先 株式会社 タックホーム
岩手県盛岡市津志田西一丁目17-33 TEL 019-636-1772 FAX 019-636-1936
http://www.tachome.com/  E-mail
PAGE UP
会社概要 | サイトポリシー | プライバシーポリシー | お問い合せ
家と人。NET |  Copyright(C)2006 RIVER PRESS,Ltd All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。